8月から始める共通テスト理科基礎|参考書ルートと具体的な勉強法
- 代表 マスナビ
- 8月4日
- 読了時間: 13分
高校3年生の8月になると、英語・数学・国語や、国公立大学の二次試験、私立大学の一般入試で使う科目の勉強が本格化します。
その一方で、後回しになりやすいのが共通テストの理科基礎です。
「学校の授業内容をほとんど忘れてしまった」 「まだ共通テスト対策を始めていない」 「どの参考書を使えばよいか分からない」 「ほかの受験科目もあり、理科基礎に多くの時間をかけられない」
このような高校3年生も少なくありません。
しかし、理科基礎を共通テストでしか使用しないのであれば、二次試験向けの発展問題を優先する必要はありません。
8月から、
基礎事項の理解→基本問題の反復→共通テスト形式の演習→過去問演習
という順序で進めることが重要です。
この記事では、高校3年生が8月から共通テスト理科基礎の対策を始めるための参考書ルートと、具体的な勉強法を紹介します。

共通テスト理科基礎の仕組み
共通テストでは、『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』という1つの出題科目から、次の4つの出題範囲のうち2つを選択して解答します。
• 物理基礎
• 化学基礎
• 生物基礎
• 地学基礎
配点は各50点、合計100点。試験時間は60分です。大学入試センターでは、「/」を一つの出題科目の中で複数の出題範囲を選択することを表す記号としています。
この記事では、読みやすさを優先し、選択する2つの出題範囲を以下「2分野」と表記します。
本番では、2分野に必ず30分ずつ使わなければならないわけではありません。得意不得意や計算量に応じて、例えば次のように配分できます。
• 生物基礎25分
• 化学基礎30分
• 見直し5分
最終的には、2分野を60分以内で解き切り、見直し時間も確保できる状態を目指します。
共通テスト理科基礎は暗記だけでは対応できない
共通テスト理科基礎では、基本的な用語や公式の理解に加えて、次のような力が求められます。
• 実験や観察の条件を整理する
• 表やグラフから必要な情報を読み取る
• 複数の資料を比較する
• 実験結果から結論を考察する
• 日常生活や社会の現象に知識を当てはめる
• 得られたデータを数値的に処理する
大学入試センターも、基本概念や原理・法則の理解とともに、科学的に探究する過程、身近な課題、観察・実験、データの整理などを重視する方針を示しています。
したがって、勉強の前半では知識と基本解法を身につけ、後半ではそれらを資料や実験問題の中で使う練習が必要です。
8月からの基本的な参考書ルート
共通テストでしか理科基礎を使わない場合、参考書を何冊も購入する必要はありません。
基本的には、次の3段階で進めます。
第1段階:基礎事項を理解する
講義系参考書や基礎問題集を使い、教科書レベルの内容を理解します。
第2段階:基本問題を反復する
覚えた知識や公式を使い、典型的な問題を自力で解ける状態にします。『田部の生物基礎をはじめからていねいに【改訂版】
第3段階:共通テスト形式へ移行する
実験、資料、グラフ、会話文を扱う問題や過去問に取り組みます。
大切なのは、評判のよい参考書を何冊も集めることではありません。
選択する2分野について、中心となる教材を1冊ずつ決め、繰り返し使うことが基本です。
科目別の中心教材
分野 | 中心教材 | 出版社
物理基礎 | 『高校これでわかる基礎問題集 物理基礎』 | 文英堂
化学基礎 | 『共通テスト 化学基礎 集中講義 改訂版』 | 旺文社
生物基礎 | 『田部の生物基礎をはじめからていねいに【改訂版】』 | ナガセ(東進ブックス)
地学基礎 | 『青木の地学基礎をはじめからていねいに〈改訂版〉』 | ナガセ(東進ブックス)
各分野で教材の性格が異なるため、同じ使い方をするのではなく、科目に合わせて進めます。
物理基礎の参考書ルート

中心教材
『高校これでわかる基礎問題集 物理基礎』
文英堂
教科書の基礎から標準レベルの問題を中心に扱い、繰り返し解くことで基礎力を身につける問題集です。参考書『高校これでわかる 物理基礎』と項目順が対応しており、分からない内容を講義書へ戻って確認できる構成になっています。
ただし、この教材は講義中心の参考書ではなく、問題演習を中心とした教材です。
学校の授業内容をほとんど覚えていない場合は、次の順序で進めましょう。
1. 教科書や授業ノートで基本事項を確認する
2. 例題を解く
3. 基本問題を自力で解く
4. 分からなかった内容を教科書へ戻って確認する
5. 翌日に同じ問題をもう一度解く
解説を読んでも理解できない単元については、
『高校これでわかる 物理基礎』
文英堂
を参照用として使います。
最初から2冊をすべて進めるのではなく、問題集を中心にして、理解が不十分な箇所だけ講義書で補うのが効率的です。
物理基礎の勉強法
物理基礎では、公式だけを暗記しても得点は安定しません。
問題を解くときは、次の手順を固定します。
1. どの物体に注目するかを決める
2. 状況を簡単な図にする
3. 分かっている物理量と単位を書く
4. 求める物理量を確認する
5. 正の向きや基準を決める
6. 使用する公式を選ぶ
7. 答えの単位と大きさを確認する
特に重点的に学習したい単元は、速度と加速度、力のつり合い、運動方程式、仕事とエネルギー、熱、波、電流と電力です。
グラフ問題では、縦軸と横軸だけでなく、グラフの傾きや面積が何を表しているかまで説明できるようにしましょう。
化学基礎の参考書ルート

中心教材
『共通テスト 化学基礎 集中講義 改訂版』
旺文社
重要事項を整理する「POINT」、演習を行う「EXERCISE」、本番に近い形式の「チャレンジテスト」という流れで、知識のインプットと問題演習を1冊で進められる教材です。現行の改訂版は2024年4月に発売されています。
化学基礎の進め方
1. 「POINT」で重要事項を確認する
2. 赤セルシートなどを使って用語を確認する
3. 「EXERCISE」を解く
4. 間違えた場合は「POINT」へ戻る
5. 翌日に同じ問題を解き直す
6. 単元終了後に「チャレンジテスト」を解く
化学基礎は、知識分野と計算分野を分けて管理すると学習しやすくなります。
知識分野
原子の構造、電子配置、周期表、イオン、化学結合、酸と塩基、酸化と還元などを整理します。
用語だけでなく、粒子の状態や変化を図で説明できるようにしましょう。
計算分野
物質量、気体の体積、モル濃度、化学反応式、中和、酸化還元などを扱います。
計算問題では、次の手順を固定します。
1. 数値と単位を確認する
2. 必要に応じて物質量molに直す
3. 化学反応式の係数比を使う
4. 求める単位に戻す
5. 答えの単位と桁を確認する
物質量、濃度、中和、酸化還元は、解説を読むだけでは定着しません。同じ形式の基本問題を数題続けて解き、計算手順を身につけましょう。
生物基礎の参考書ルート

中心教材
『田部の生物基礎をはじめからていねいに【改訂版】』
ナガセ(東進ブックス)
大きな図と口語調の講義を使い、生物基礎をゼロから理解できるように構成された参考書です。現行課程の教科書に対応し、用語の暗記だけでなく、生物現象の構造や仕組みを理解することを重視しています。
説明が丁寧な分、短期間ですべてを細部まで暗記しようとすると時間がかかります。
8月は、細かい知識を完璧にすることよりも、各単元の全体像と因果関係を理解することを優先しましょう。
生物基礎の進め方
1. 1テーマ分の講義を読む
2. 図と重要語句を確認する
3. 本を閉じて内容を説明する
4. 重要な図を何も見ずに再現する
5. 学校問題集などで基本問題を解く
6. 間違えた箇所を参考書へ戻って確認する
生物基礎では、用語を単独で覚えないことが重要です。
例えばホルモンであれば、次の内容をセットで整理します。
• ホルモンの名称
• 分泌する器官
• 標的となる器官
• 具体的な働き
• 分泌量が変化する条件
• フィードバックとの関係
実験問題の読み方
実験問題では、次の順序で条件を整理します。
1. 実験の目的は何か
2. 何を変化させたか
3. 何を測定したか
4. 比較対象は何か
5. 対照実験はどれか
6. 結果から何がいえるか
知識を覚えた後は、必ず図、表、実験結果を扱う問題へつなげましょう。
地学基礎の参考書ルート

中心教材
『青木の地学基礎をはじめからていねいに〈改訂版〉』
ナガセ(東進ブックス)
新課程に対応し、共通テストの得点力を意識して、必要性の低い知識を整理した講義系参考書です。地震、火山、地層、気象、天文など、性格の異なる分野を図や説明とともに学べます。
学校で地学基礎を履修していない受験生や、独学で一から学びたい受験生にも使いやすい教材です。
地学基礎の進め方
1. 1テーマ分の講義を読む
2. 図や模式図を確認する
3. 本を閉じて現象の流れを説明する
4. 重要語句、数値、年代を整理する
5. 基本問題を解く
6. 天気図、地層、グラフなどの資料問題へ進む
地学基礎では、用語を文章だけで暗記しないことが重要です。
次の内容は、必ず図や模式図と結び付けて学習しましょう。
• 地球の内部構造
• プレートの運動
• 地震波
• 火山と岩石
• 地層と地質年代
• 大気と海洋
• 前線と天気図
• 太陽系
• 恒星と宇宙
地層の問題では、上下関係や切断関係から、地質現象が起きた順番を判断できるようにします。
気象分野では、気温、気圧、湿度、風、前線の関係を図で整理しましょう。
基本問題の反復方法
講義系参考書を読んだだけでは、共通テストの得点にはつながりません。
学習したテーマごとに、学校配布問題集などを使って基本問題を解きましょう。
共通テストのみで使う場合は、次の問題を優先します。
• 基本例題
• 用語確認問題
• 教科書レベルの計算問題
• 実験・観察の基本問題
• 図・表・グラフの読み取り問題
発展的な記述問題をすべて解く必要はありません。
問題集を最初から最後まで終えることよりも、基本問題を何も見ずに解き、根拠まで説明できる状態にすることを優先します。
過去問の使い方
過去問集には、
『共通テスト過去問研究 物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎 2027年版』
教学社
などがあります。
2027年版には、2022~2026年度の本試験や、2025・2026年度の追試験が収録されています。過年度問題には学習指導要領の違いによる旧表現が含まれる場合があるため、現行課程の問題を優先し、古い問題は解説の注意書きを確認しながら使いましょう。
過去問は、次の3段階で使います。
8月:出題形式を知る
選択予定の2分野について、現行課程の過去問を一度確認します。
この段階では、点数や時間を気にする必要はありません。
• どの程度の文章量があるか
• どのような資料が出るか
• 現在どの単元が解けないか
を把握することが目的です。
10~11月:1分野ずつ解く
最初は時間を厳しく設定せず、選択肢を選んだ根拠まで確認します。
間違えた単元は、必ず中心教材へ戻って復習します。
12月以降:2分野を60分で解く
本番と同じ条件で、選択する2分野を続けて解きます。
得意分野と苦手分野に応じて、自分に合った時間配分を決めましょう。
8月の具体的な学習計画
8月の目標は、2分野を完璧に仕上げることではありません。
選択する2分野の全体像をつかみ、主要単元の基礎学習を進めることを目標にします。
基礎がほとんどない場合は、1周目の完了が9月上旬になっても問題ありません。
第1週
• 選択予定の分野の過去問を確認する
• 現在の知識量と苦手単元を把握する
• 1分野目の中心教材を始める
第2週
• 1分野目の主要単元を進める
• 学習した範囲の基本問題を解く
• 間違えた問題に印を付ける
第3週
• 2分野目の中心教材を進める
• 1分野目の間違えた問題を復習する
第4週
• 2分野目の主要単元を進める
• 2分野の未理解単元を整理する
• 9月以降の復習計画を立てる
理科基礎全体の学習時間は、1日45~60分程度が一つの目安です。
例えば、次のように分けます。
• 月・水・金:1分野目
• 火・木・土:2分野目
• 日曜日:遅れの調整と間違い直し
一方の分野を長期間まったく復習しない状態は避けましょう。
9月以降の学習計画
9月:1周目の完了と基本問題
8月に終わらなかった範囲を終え、基本問題を解き直します。
すべてのページを最初から読み直すのではなく、次の内容を中心に復習します。
• 間違えた問題
• 説明できない用語
• 計算手順が曖昧な単元
• 図を再現できない内容
10月:共通テスト形式に慣れる
単元別・分野別の共通テスト形式問題に取り組みます。
この段階では、速さよりも次の点を重視します。
• どの知識を使うのか
• 資料のどこを見るのか
• どの条件が重要なのか
• 選択肢をどの根拠で判断するのか
11月:過去問を1分野ずつ解く
1分野30分前後を目安に過去問を解きます。
間違えた問題は、原因を分類しましょう。
間違いの原因 | 復習方法
知識不足 | 参考書の該当箇所へ戻る
理解不足 | 図や現象を自分の言葉で説明する
計算方法が不明 | 同形式の基本問題を数題解く
資料の読み違い | 軸・単位・比較対象を確認する
条件の見落とし | 問題文の条件に印を付ける
時間不足 | 解く順番と時間配分を見直す
12月:2分野60分のセット演習
本番と同じ条件で、2分野を続けて解きます。
週1回程度から始め、直前期には必要に応じて演習回数を増やします。
1月:間違い直しを優先する
直前期に新しい参考書へ手を広げる必要はありません。
• 過去に間違えた問題
• 覚え切れていない用語
• 苦手な計算
• 読み間違えやすいグラフ
• 判断に迷った実験問題
を優先して復習します。
参考書の正しい使い方
参考書は、読んだだけで終わらせないことが重要です。
次の流れで使いましょう。
1. 解説を読む
2. 本を閉じる
3. 内容を自分の言葉で説明する
4. 図、公式、重要語句を再現する
5. 基本問題を解く
6. 間違えた問題に印を付ける
7. 翌日と1週間後に解き直す
参考書を開いた状態で理解できることと、試験で答えられることは別です。
何も見ずに説明・再現できるかを確認してください。
避けたい勉強法
参考書を何冊も同時に進める
中心教材は各分野1冊が基本です。
教材を増やすよりも、決めた教材を繰り返しましょう。
基礎が完成するまで過去問を見ない
8月にも一度過去問を確認し、最終的な出題形式を知っておきます。
ただし、基礎知識がない状態で過去問だけを繰り返すのも適切ではありません。
学校問題集をすべて解こうとする
共通テストでしか使わない場合、発展問題や難しい記述問題をすべて解く必要はありません。
基本問題と実験・資料問題を優先します。
用語や公式だけを暗記する
共通テストでは、覚えた知識を初めて見る資料や実験に適用する力が求められます。
「なぜそうなるのか」「どのデータが根拠なのか」まで考えましょう。
正解した問題を復習しない
偶然正解した問題や、根拠が曖昧なまま正解した問題も復習対象です。
正解・不正解だけでなく、判断した根拠を説明できるか確認してください。
まとめ|8月は理科基礎の土台をつくる時期
8月から共通テスト理科基礎の対策を始める場合は、次の流れで進めます。
8月:2分野の全体像と主要単元を学ぶ 9月:1周目を終え、基本問題を定着させる 10月:共通テスト形式の問題に慣れる 11月:過去問を1分野ずつ解く 12月:2分野60分のセット演習を行う 1月:間違えた問題と苦手単元を復習する
共通テスト理科基礎で重要なのは、難しい問題を大量に解くことではありません。
教科書レベルの知識を正確に理解し、実験・図・表・グラフの中で使えるようにすることが重要です。
8月開始でも、教材を絞り、基礎学習と復習を継続したうえで、秋以降に共通テスト形式の演習を積めば、得点源にする余地は十分にあります。
焦って教材を増やすのではなく、まずは選択する2分野の中心教材を決め、毎日の学習を始めましょう。



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